「劣悪な環境で生活強いられた」フィリピン人元技能実習生の裁判 原告は「姉のような存在でありたいとの思いで接していた」
枕崎市の水産加工会社で働いていたフィリピン人の元技能実習生4人が、劣悪な環境での生活を強いられたなどとして、当時の勤務先などに損害賠償を求めている裁判で29日被告側が証言台に立ちました。
監理団体の「枕崎市水産物振興協同組合」と当時の勤務先のかつお節工場を訴えているのは技能実習生として働いていたフィリピン人の女性4人です。
4人は監理団体が運営する宿舎で生活していましたが、技能実習法で定める広さの寝室を与えられず、不当に外出を制限されたと訴えているほか、事前の説明に反して重い箱の上げ下げを頻繁に命じられ、病気を患ったなどとして監理団体などにあわせておよそ970万円の損害賠償を求めています。
29日の裁判では当時、技能実習生の生活面の指導などを担っていた監理団体の女性が証言台に立ち、宿舎について「ベッド以外にも自由時間を過ごすスペースもあり、劣悪な環境とは思わない」と答えました。
原告が女性から服装の制限や無断でスマートフォンを見られたなどと主張していることについても否定し、「技能実習生の姉のような存在でありたいとの思いで接していた」と話しました。
勤務先のかつお節工場の代表は、「作業内容に運搬作業などがあることは事前に示していた」とした上で、宿舎や仕事の不満について、「直接聞いたこともなく早く言ってくれれば解決できていた」と話しました。
28日は原告が証言台に立ちましたが、原告と被告の主張は、真っ向から対立していて、裁判所がどのような事実認定をするのか注目されます。
裁判は来月20日に弁論が開かれ審理を終える見通しです。